剣ではなく和解を
イザヤ2:4
イザヤ書2章4節は「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」と語ります。戦争のための武器を、命を育てる農具へと変える。この言葉は、世界平和の象徴として国連本部前のモニュメントにも刻まれています。
しかし、この表現はもともとヨエル書4章10節で「鋤を剣に、鎌を槍に打ち直せ」と、まったく逆の形で使われていました。当時、常備軍はなく、敵が迫れば農民に武器を取らせるための現実的な号令だったのです。イザヤはその 言い回しをあえて逆転させ、戦わない意志、和解を選ぶ決断を鮮やかに示しました。
「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる」とは、単なる懲罰ではなく、壊れた関係を回復し正しい秩序を もたらすことです。武器を農具に変えることは、ただ捨てるだけでなく、破壊のための力を命を養う力に作り直すことを意味します。私たちの心にも、怒りや妬み、憎しみといった「武器」がありますが、神の働きによってそれらは赦しや 祈り、他者を立てる力へと変えられます。
人は戦う技術を学びますが、同じように和解の技術も 学ぶことができます。耳を傾け、相手の立場を理解し、 傷ついた心を神様に差し出すことです。現実には、報復や 自己防衛の衝動をすぐに手放すのは難しいことです。しかし、神様の助けと導きの中で、少しずつその衝動を和解へと向け直す歩みが可能になります。
剣ではなく和解を。それは遠い理想ではなく、神様と共に今ここで選び取る歩みです。神の平和は、私たちの心から始まり、やがて世界へと広がることを信じて、祈りを合わせていきたいと願います。